王子様はご主人様!?
ブラウンの長い髪。
クリッとした瞳に、色白の肌。
完璧に男たちが好きな顔だろ?
「ひ、輝くんだってカッコいいよっ…。凄く優しいし」
少しうつむきながら、恥ずかしそうに頬をピンクに染めた
「ははっ。ありがと。」
そんなの知ってる。
別にナルシストではないけど、周りがあれほど騒げば嫌でも理解する
「やっぱり王子様だ……」
「えっ?」
ボソッと呟いた自分の声にハッとした様子
「い、いやっ!みんなが、王子様みたいで好きって言ってたからさぁ―」
「…王子様みたい…か…」
そう……
みんなが好きなのは俺じゃない。
優しくて紳士な、王子様の俺……
つまりモテてるのは俺じゃなくて、王子様の…作り物の俺なんだ。
「…輝…くん?」
って、そんなこと今さらか。
別に、素の俺を好きになる奴が出てくるとも思わねぇし……
ってか、この学校で素を見せることなんて、一生ないしな。
「あの…「ほら、着いたよ。入ろう」
宮澤の言葉を遮って、職員室のドアに手をかけた