王子様はご主人様!?


「ごめんな……」


「なんでお兄ちゃんが謝るのよ?」


腕の中でそう言った綾香



「俺が親父のところに行けばよかったのに……」


「それはお兄ちゃんのせいじゃないでしょ?」



綾香が親父に引き取られた理由はただ一つ。


親父が綾香は引き取ると自分から言い出したからだ。


もちろん反対したが、お袋には俺たち2人を養えるほどの経済力はなかった。


だから綾香は親父に引き取られた。



「それにいいの。お兄ちゃんがずっと一緒に居てくれるんでしょ?」


「綾香……」



「あたしはお兄ちゃんとずっと一緒に居れればそれでいい。」



ずっと一緒に……?


それは……



「………ダメだ」


「えっ……」



少し低めな声が聞こえる


そんな綾香の肩を掴み、引き離す



「綾香、俺はずっとは一緒に居れない……」


「な、なんで……」


震えるような声



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