王子様はご主人様!?


――ブチッ


「おいっ!綾香!?」


無理やり切られた携帯からは、定期的な機械音しか聴こえない……



何度も綾香に電話しても、電源を切ったのか繋がらない……



「綾香ちゃん?どうかしたのか?」



後ろで心配そうに蒼依が俺を見る


綾香が謝った理由が分からない……


綾香は何に謝ってるんだ……?



「おい!輝?大丈夫か?」


「ちょっと俺、行くわ…」



「は!?行くってどこに!?」


「綾香がなんか様子おかしくて……。とにかく行くから」


「お、おいっ!!」



蒼依が呼び止めるのも聞かずに、屋上から出た



綾香が行きそうなところは手当たり次第に当たった


何か嫌な予感がする……



自分のアパートに走り、中に入る


いつもと変わらない光景だけど、何か違う



綾香の私物が全て綺麗に無くなっていたんだ……



何があった……?


パニックになりつつある頭で、必死に考える


――♪〜♪♪


その時、携帯が鳴った



< 276 / 348 >

この作品をシェア

pagetop