王子様はご主人様!?


ディスプレイには[蒼依]の文字


――ピッ


「……もしもし」


「おいっ!輝っ!綾香ちゃん居たぞ!!駅近くの公園だっ!」


そう言ってきた蒼依の息は荒れていて、蒼依も走って探してくれていたことが分かった。



「今から行く」とだけ言い、走り出した


もう外は夕日がかってきていて、電灯もチラホラ付き始めていた……



「綾香っ!!」



走ってたどり着いた公園のベンチに、丸くなるようにして座っている綾香


――ホッ


まずは綾香が無事だと分かり、胸を撫で下ろした



「輝……」


蒼依が綾香の横に座り、綾香の手を握っていた



そして綾香との手をほどき、俺に近づいてくる


「蒼依……」



「綾香ちゃん……俺を見たとたんに逃げようとしたんだ……。だから咄嗟に捕まえちゃってさ……。それからはただ泣きながら謝ってる……」


ベンチに力なく座る綾香に近づいた



「綾香……」


――ビクッ



一瞬震えた綾香の肩



< 277 / 348 >

この作品をシェア

pagetop