王子様はご主人様!?


「確かにね……、凄く怖かった……。あなたのこと、簡単には許せないと思う……」


「っ………」



「でもね……。綾香ちゃんもツラかったんだよね…。あたしと同じで……」



「えっ……」


さっきから小刻みに震えている手は、異常なまでに細くって……



こんなに痩せるまで苦しんだのが分かった……



「許せないけど……許したい……。だって、あなたは輝が大事に思っている女の子なんだもん。」


「っ……」


そんな子をあたしは恨んだり、憎んだり出来ない……


「ウゥ…ごめんなさいっ」


さらに泣き出してしまった綾香ちゃんを、そっと引き寄せ抱きしめた



―――――――――……


「花梨も甘いよな。あんな簡単に許すなんて」


「だって―…」



輝のアパートに向かいながら、そう話してきた


あれから蒼依くんが綾香ちゃんを迎えに来てくれた。


輝が呼んだみたい。



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