王子様はご主人様!?


綾香ちゃんの肩を抱き寄せる蒼依くんは、愛しそう綾香ちゃんを見ていた……



きっと綾香ちゃんにも、素敵な人が出来るんだろうね…



――ガチャ


「入って……」



アパートについて、鍵を開けて中に入れてくれた輝


「あっ、お邪魔しま―す」


そう言ってあたしも靴を脱いて上がった瞬間……



――ギュッ



後ろから抱きしめられた……



「ひ、ひか…「ごめん……」


「えっ……?」


「ごめん……。俺、花梨を守れなかった……」



今にも消えそうで、弱々しい輝の声が耳に届いた


「怖かったよな……。すぐに抱きしめてやれなくてごめん……」



「輝……」


あたしの首に回された手が、小刻みに震えている



「輝のせいじゃないよ。それに、今抱きしめてくれてるじゃない?」



だからそれで十分……




< 317 / 348 >

この作品をシェア

pagetop