王子様はご主人様!?


「はぁ―…わかった。わかったから、そんな顔するな……」


「え……?」



「ほら、行くぞ」



そう言ってあたしの腕を握る輝に、あたしはただ頷いた



―――――――――……


「捻挫ね…。とにかく今はテーピングしとくけど、ちゃんと病院に行きなさい。」



「はい…」



「それから、くれぐれも激しい運動はしちゃダメよ。」


30代の優しそうな保健の先生がそう言った


「じゃあ、悪いけどちょっと職員室に呼ばれてるから。」




と言って、保健室から出ていった



「…………」


「…………」



「ほらな。大丈夫だったろ?」



椅子に座りながら、うつ向いているあたしにそう問いかけた



「なにが、大丈夫よ…」



捻挫って…病院に行けって言われたのに……



「大丈夫だから、もうそんな顔やめろ…」



……え



「でも心配してくれてありがとな。」



あ…、あたしそんなに心配そうな顔してたんだ……




< 84 / 348 >

この作品をシェア

pagetop