王子様はご主人様!?


痛そうに顔を歪めている輝の近くに、蒼依くんやらチームのメンバーが集まってくる



「輝っ!お前足痛めてたのかよっ!」



蒼依くんが足首のテーピングを見て、ハッとした



「もうお前は見てろ。」



そう言って、肩をもち立たせようとする



「いい。まだ続ける」



……え


輝から出た言葉に息を呑んだ



「お前バカかっ!こんな足でまだ続けるのかよっ!!」



「頼む。この試合だけは勝つって決めたんだ…。」


周りが静まり反っているせいか、あたしの耳には会話がはっきりと聞こえた



「輝…」



「頼む蒼依……」



必死に頼む輝に対して、ついに蒼依くんが折れた



「はぁ―…、わかったよっ!」



蒼依くんが輝に手を差し伸べ、それを輝が強く握った


それと同時に試合が再開された



「輝くん…。なんであそこまで必死なんだろ……」



唯が隣でボソッと言った



本当だよ……



球技大会じゃん…


ここまで…ここまで苦しんでしなくてもいいのに…



なんでっ……



時間がどんどんと過ぎ、後1分を切った



残り30秒……




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