王子様はご主人様!?


「あっ、うん。」



いつもと変わらない優しい笑顔


さっき何か変な感じがしたけど……



………気のせいだよね?




――ガラッ


「2年A組の井之上と宮澤です。担任の加我[かが]先生に用事があって来ました。」


あたしの出る幕などなく、後ろでその言葉を聞いていた



「おお―っ。来たか。入れ入れ。」



「失礼します。」



そう言って中に入る輝くんに続いて、あたしも中に入った



「わざわざ放課後に呼んで悪かったな。」



全くそんなことを思ってない様子で言われても…と思いながら担任を見た



「いいえ。構いませんよ。」


優しい輝くん…



「で、先生。何の用なんですか?」



輝くんに対して幼いあたし



「本当にこいつで大丈夫なんだろうか…?」



……は?


「何ですか。人の顔見てその反応…」



ふつふつと沸き上がる怒りを、輝くんの前だからと抑える



「まぁ―…仕方ないか。会長が決めたことだし。」



……会長?


ってか1人で納得しないでよ。



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