王子様はご主人様!?
「輝。とにかく足を冷やすか?」
「あぁ―…そうだな。」
「じゃあ、俺がついて行くよ。」
「サンキュ。でも……」
なぜか静まり返った生徒
……え
そっと視界を上げた
「宮澤さん。ついてきてくれるかな?」
「っ……」
いつの間にか、目の前に立っていた輝
「いい…かな?」
そう言って微笑む輝に、あたしは「うん…」と小さく頷いた
あたしたちが出ていった体育館からは少しざわつきが起こってた気がするけど…
「よし。ここまで来れば大丈夫だろ」
裏庭にある水道に来たあたしたち
「あぁ―…、マジ痛ぇ〜。」
「…………」
「意外に手強い相手だったんだよな〜」
「…………」
「おい、なんか言えよ…」
「っ………」
言葉が出ない………
「何で…泣いてるわけ……」
「っ……」
こらえきれない思いや、感情が涙となって溢れた
「なぁ―…花梨。俺が優勝したら言うこと一つ聞くって言ったよな…」
「…………」
「じゃあさ、キスさせて……」
えっ………
驚きの声をあげようとしたのに、それは声にならなかった……
………もうすでに、唇が輝のキスによって塞がれていたから……