王子様はご主人様!?
「って、お前足大丈夫かよ!?」
飛び付いてきて何を今さら……
「輝。とにかく足を冷やすか?」
「あぁ―…そうだな。」
さすがに限界に痛い……
感覚も痛さで無いに等しい……
「じゃあ、俺がついて行くよ。」
「サンキュ。でも……」
俺はある一点を見つめた
何かをこらえるかのように、うつ向いている小さな女を……
「宮澤さん。ついてきてくれるかな?」
「っ……」
ゆっくりと近づき、花梨に話しかける
「いい…かな?」
「うん…」
俺たちは体育館を後にした。
裏庭には誰も居なく、静かな時が流れている…
「よし。ここまで来れば大丈夫だろ」
周りに誰もいないし。
「あぁ―…、マジ痛ぇ〜。」
「…………」
「意外に手強い相手だったんだよな〜」
「…………」
……何も言わないつもりかよ…
「おい、なんか言えよ…」
「っ………」
黙ったままうつむいている花梨……
そんな花梨の肩が、少し震えていることに気づいた…
「何で…泣いてるわけ……」
「っ……」
花梨……
「なぁ―…花梨。俺が優勝したら言うこと一つ聞くって言ったよな…」
「…………」
「じゃあさ、キスさせて……」
花梨が何か言おうと顔をあげた瞬間、俺はその唇を塞いだ……
ただ、何も考えず唇を重ねていた……