その世界から使者は度々俺を連れにきた。


夜、眠ろうとすると語りかけてきた。
「おいで」

俺はされるがまま、精神世界に入っていった。

俺と同じ様相の彼は、よく俺にこういう話をした。

「星は綺麗だよ。美しいし、幻想的でもある。でも、届くのは小さな光。大きな変化じゃないんだ。存在感が無いんだ。」

「なぜ、存在感が無いと駄目なんですか?」
俺は、敬語で聞き返す。

悲しげに青年は語る。
「存在しているのにまるで無いみたいに感じる。これほど悲しい事は無いんだよ。雄亮には、分かるだろう。つまり、これが孤独なのさ。」

「では、どうすれば?」
俺は問い返す。

「太陽をこの世界に作ればいいんだ。君自身で。星は消えるけれど大きな大きな変化が光が君に届く。」

俺は、この意味がしばらくの間分からなかった。

黒が俺に語りかけてくるまでは。




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