学園スパイラル~夢と希望と正義とバカと~
「もう我慢できねえ」

 この状況で誰一人、止めに入らないだけでなく、こいつらを守ろうとする奴もいねえ。それはつまり、俺たちが弱いと思われ、舐められているということだ。

 隼人の感情に誘発されたのか、仲間の三人も険しい表情を見せる。

「そろそろ警官がパトロールに来る時間だね」

 匠が腕時計に目を向けて発した。

「なに!?」

 隼人たちは慌てて周りを見回すと、マウンテンバイクにまたがったお巡りさんが近づいてきた。

「いよ~う。元気か?」

 匠を見つけた警官が軽く手を挙げて止まる。まだ二十代と若く、気さくな性格なのだろうか緊張感の欠片もない爽やかな笑顔を振りまいている。

「はい。あなたも元気そうで」

「こんちは~」

 まさか警官が立ち止まるとは思っていなかった隼人の心臓は、バクバクと早鐘のごとく激しく打ち続けた。
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