学園スパイラル~夢と希望と正義とバカと~
「そんな奴を相手に出来るかっての」

 ただただ、痛い目を見るだけだ。

 男は直接、匠と相まみえた事はない。しかし、同じ自治区に住んでいるという事もあって噂は自然と流れてくる。

 考えてもみれば未成年の起こした、かいつまんだ噂だけが流れてくるという時点で敬遠の対象になるのは必至だ。

「悪いことは言わねえ。あいつとは関わるな」

 男はしみじと語ったあと、ニヒルに笑って遠ざかる。その背中には、哀愁さえもが漂っていた。

「なあ。やめようぜ」

 仲間の一人が腕をこづくが、隼人は振り切るように頭を何度か振った。
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