学園スパイラル~夢と希望と正義とバカと~
 
 しかもこの老人、いやに足が速い。周囲の若者と張り合えるほどの速さだ。皆、一様に飢えた肉食獣のようにギラつき、執拗に追いかけてくる。

「なんで、こんなっ──」

 混乱している頭を整理しようとしても、整理する棚が見つからない状態である。今まで生きてきた中で一番の恐怖が隼人を襲っていた。

 人間、本当に怖くなると自然と笑みがこぼれる。隼人の面持ちにもその笑みが浮かんでいた。

 捕まりたくない、捕まったら何をされるか解らない。隼人は大して鍛えてもいない体にむち打って走り続けた。

 なんで、追いかけてくる奴らは一人もへばってないんだよ!

「はあっ、はあ──」

 三十分ほど追いかけ回されたが、なんとかまいたらしい。チノパンとは途中ではぐれてしまった。
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