学園スパイラル~夢と希望と正義とバカと~
 
 大きく息を吐き出すと、胸ポケットに入れているスマートフォンがメールの着信を音で伝えた。

「お。祐介も逃げ切ったか」

 迷彩ジャケットを来ている男は祐介というらしい。

 とりあえず落ち着いた隼人は、周囲を見回して空き地から人通りのないアスファルトの道路を見やった。

「とにかく、頭を整理しよう」

 スマートフォンを仕舞い、空き地の土管に姿を隠して思案を始めた。いまどき土管のある空き地も珍しいが、そんな事はいまの隼人にはどうでもいいことだ。

「なんだって俺は追われているんだ」

 考えても解らない。解らないというのは、「ありすぎて絞れない」という意味だ。
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