学園スパイラル~夢と希望と正義とバカと~
 
 顔立ちは悪くはない。しかし、頭が良さそうという訳でもない。

 匠は初めから友人である健の事を尋ねられている事は充分に理解していたけれど、だからといってそうすんなりと教えるほど、彼は優しくも素直でもない。

 それにしても、男は随分とご立腹の様子だ。(その何割かは匠の仕業だとしても)

「何をしたんだい」

「ん~……」

 匠が問いかけると、健は複雑な表情を見せて頭をかいた。

「よくも俺をコケにしやがったな!」

「ほう?」

 健をよく知る匠は意外な言葉に感心すら覚えた。彼が知る限り、健はそのような事が出来る性格ではない。

 健はそこまで考えては行動しないからだ。ただただ、食べることが大好きで、匠のする事にはできる限りの協力を惜しまない。
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