学園スパイラル~夢と希望と正義とバカと~
「俺をことごとく無視してんじゃねぇ!」

「因みに」

 匠は誰もいなくなった通学路で声を荒げる男に視線を送り、

「私を捕まえて彼を脅迫しようなどとは、考えてはいないよね?」

「グッ──!?」

「あ。考えてたんだ」

「な、なんなんだよ、お前ら」

 ガキのくせに、なに落ち着き払ってんだよこいつら──さすがに男は怖くなってきた。

「で、彼の名前は解るかい?」

「鴨居 隼人(かもい はやと)」

「なんで俺の名前を!?」

 驚いた男に、健はキョトンと応える。

「だって、名字と名前でみんな呼んでたから」

 くっつけたらフルネームになるな~って思ってた。

 健少年の率直な言葉に、確かにそうだったと男は生ぬるい笑みを浮かべ視線を泳がせた。
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