winter game
「堺くんってカッコイイよね!!」
「うんうん!!
でも、どちらかと言うと…可愛い♪」
そんな声が、受験前の3年6組で聞けるとは
つい一昨日まで、思っても見なかった。
『オーストラリアから日本に帰って来た、
堺凪良です』
信じられなかった。
まさか、未来の人があたしの運命を
変えるために、ここまでやるとは。
「西脇さん!!」
今日も大好きな栗田くんの呼び出しを
待っていたあたし。
いつもの昼休み。
「栗田くん!!!!!」
いつも以上に、楽しくなれそう…
「?? 今日は、何か機嫌いいね」
「そう?」
「うん、何だか楽しそう!!」
「ほんとに?」
「うん!!
ねぇ、西脇さんのクラスに
転校生来たって聞いたんだけど、
なんか凄いね!!」
「そ、そう…??」
「うん、だって…あの時和多高校の
推薦もらってるんだろ?
それに、帰国子女とか凄すぎだな!!」
「あ…そ、そうなんだ~」
「あれ? あんまりそういうの、
興味ないの??」
「いや…そういうわけじゃなくて、
そんな事言ってる栗田くんも
凄いじゃん!!
昨日は、あたしが時和多受けるって
聞いて、凄いとか言ってたけど
実は栗田くんも受けるとか知って
ビックリしちゃった!!」
「…俺、その話したっけ?」
「……あっ」
(ギャー!!!?
そうだった、この話は凪良から
聞いただけの話だった!!!!)
「あ…あの……風の噂??」
「…俺、誰にも話してないはず
だったんだけどなぁ」
「あ、そそそうだったの??????」