winter game


「堺くんってカッコイイよね!!」

「うんうん!!
 でも、どちらかと言うと…可愛い♪」

そんな声が、受験前の3年6組で聞けるとは
つい一昨日まで、思っても見なかった。

『オーストラリアから日本に帰って来た、
 堺凪良です』

信じられなかった。

まさか、未来の人があたしの運命を
変えるために、ここまでやるとは。

「西脇さん!!」

今日も大好きな栗田くんの呼び出しを
待っていたあたし。

いつもの昼休み。

「栗田くん!!!!!」

いつも以上に、楽しくなれそう…

「?? 今日は、何か機嫌いいね」

「そう?」

「うん、何だか楽しそう!!」

「ほんとに?」

「うん!!
 ねぇ、西脇さんのクラスに
 転校生来たって聞いたんだけど、
 なんか凄いね!!」

「そ、そう…??」

「うん、だって…あの時和多高校の
 推薦もらってるんだろ?
 それに、帰国子女とか凄すぎだな!!」

「あ…そ、そうなんだ~」

「あれ? あんまりそういうの、
 興味ないの??」

「いや…そういうわけじゃなくて、
 そんな事言ってる栗田くんも
 凄いじゃん!!
 昨日は、あたしが時和多受けるって
 聞いて、凄いとか言ってたけど
 実は栗田くんも受けるとか知って
 ビックリしちゃった!!」

「…俺、その話したっけ?」

「……あっ」

(ギャー!!!?
 そうだった、この話は凪良から
 聞いただけの話だった!!!!)

「あ…あの……風の噂??」

「…俺、誰にも話してないはず
 だったんだけどなぁ」

「あ、そそそうだったの??????」


 

< 21 / 31 >

この作品をシェア

pagetop