winter game
どこかの駅前の広場だった。
『もう、圭っていつも遅れるよねぇ』
『だからごめんって!!』
『…チューしてくれないと
許さないもん!!!!!!!!』
『え??? ちょ、おいっ!!!!!?
芽緒…』
目の前の俺にキスしようとする女。
(…誰だよ??)
俺は目を逸らすように辺りを見た。
(……西脇??)
近くの木の影から二人を見つめる一人の女。
それは紛れもなく、西脇だった。
今より少し大人っぽくなってて
もっと可愛くなっている。
俺が想いを寄せている相手。
『チュッ』
甘い音が聞こえた。
俺は寒気がして、つい後退りした。
『…芽緒』
『圭、あたししか見ちゃだめだよ?』
『わかってるよ』
…本当に俺か?
俺、こんなこと言うのかよ??
自分でも信じられない。
てか、ここはどこで今はいつなんだ??
てか、あの女は誰で
目の前の俺は未来の俺なのか??
目の前の西脇は…
何であんなに悲しそうに
俺たちを見ているんだ!!?
俺は…
あんな女じゃなくて西脇と
あんな風に、恋人みたいに
なれるんじゃねぇのか??
『栗田くん…』
西脇の声で、目の前はまた真っ白になった。