winter game


「進路希望調査、配るぞー!!」

先生が黒板に"進路"と大きく書いた。

「もう少しで冬休みだ。
 もう12月中には進路決定だからな」

皆、配られたプリントを見ながら聞く。



高校進学を志望するなら①を。

就職を希望するなら②を丸で囲め。



もちろんあたしは高校進学。

今の時代、就職は無理だろう。

そうでなくても働くだなんて。


「何度も言うが、これが最後だからな」


そう、泣いても笑ってもこれで
栗田君とお別れかもしれない。




あたしは、中1の文化祭期間中に
栗田君と初めて出会った。

あたしは文化委員だったこともあって
文化祭前日、おそくまで学校に
残っていた。


『西脇さん!! 体育館の壁に
 これ、貼って来てくれない?』

『あ…はい!!』

あたしは先輩に頼まれて体育館まで
ポスターを張りに行った。

夕日がおちかけてて反射した太陽が
眩しかったのを覚えている。

『うっわ…もしかしてこれ、
 はしご登って貼らなくちゃいけないの?』

先輩に指定されたポスターを張る場所は
…なんと体育館の高い窓だった。

あたしはしょうがなく元々備え付けの
鉄のはしごを登り始める。

前に一度、体育の時間でバドミントンを
した時、羽が乗っかって取りに登った
ことがある。

でも、やっぱり怖い。

『先輩が行けばいいのに~』

あたしは独り言を言いながら登る。



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