winter game
「……てかなんで西脇と仲いいの?
転校してきたとこなのに」
「あれ?
西脇さんから聞いてなかったの?
僕と西脇さん、幼馴染みなんだ♪」
「…幼馴染み!?」
「うん!!」
"可愛らしい堺くん"は
同性の俺でさえ見とれてしまう
笑顔を見せた。
てか、幼馴染み!?
西脇は何も言ってなかったのにな…
「だから何でも話し合える仲なんだ♪
んで栗田くんのことが
好きだって聞いちゃった(笑)」
えへ♪
と笑う堺。
「……西脇が俺のこと?」
「うん!! 両思いだしよかったね♪」
「…本当の本当に?」
「だから本当だって♪」
俺はまだ堺を疑ってしまう。
なぜかはわからないけれど
こいつは俺に何らかの影響を及ぼす。
「もうすぐ卒業だし
早く告白しなきゃだね」
急にトーンが下がった堺の声が
俺には嫌味に聞こえた。
堺はもうすぐ卒業だと言った。
けれど俺はもうすぐ受験だ。
そんなのんきじゃない。
西脇もだ。
本当に俺のこと好きだったとしても
こんな時期に告白されても
困るだけだろう。
でも、たしかにもうすぐ卒業だ。
偶然にも
西脇と同じ高校を受験する。
でも、受かるかわからない。
どうすべきなんだろうか
俺は堺をほったらかしにして
一人で悩み始めた。