winter game


やっとのことでなんとか登れた。

『さてと…5、6枚貼らなきゃいけないのか』

あたしはせっせとポスターを張っていく。

大きな窓から見えるグラウンド。

サッカー部やテニス部が見える。


全てのポスターを張り終え、
後は下りるだけとなった時だった。

ガタ―――――ン!!!!!!

なんと、備え付けだと思っていた
はしごが倒れてしまった。

『えぇーーー!??! うっそぉー…』

あたしは下りたくても、
下りられなくなってしまった。

そういえば、反対側の窓の方には
はしごが付いていなかった。

…そう考えたらはしごは
備え付けじゃないって気付いたのに。


……とにかくどうしよう。

誰かに助けを求めたくても
文化祭前で体育館で部活をするところは
休部だしな…。

『…まじでどうしようーー』

あたしは膝を抱えて顔をうずめる。


~~♪♪♪♪


下校の時刻を告げる音楽が鳴り響いた。

『えっ!!? 皆帰っちゃうじゃん!!』

あたしは半泣きになりながら
諦めかけてていたその時だった。


誰かの足音が聞こえてきた。


『大丈夫?』


これが、あたしと栗田君との出会いだった。



一人の1年生らしき男子がラケットを
片手にあたしを見上げる。

『ぁ……あの、助けてください!!!!』

彼は倒れたはしごを見て、あたしに言った。

『このはしご、チェーンのところが
 切れちゃってるから使えないわ』

『え……』



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