winter game
「おはよ~ 、茜」
美紀が欠伸をしながら話しかけてきた。
「おはよぉ」
あたしは塾の宿題をやりながら言った。
「また朝っぱらから~!!!!
そんなに頑張らないと、宿題って
終わんないもんかね~」
美紀は呆れて言う。
「美紀の塾とあたしの塾の宿題は
全然違うの!!
あたし、家で勉強しない人だから
これくらい出されないと勉強しないんだよ」
「だからって…学校でやらないと
間に合わないくらい大変でしょ?
頭、パンクするよ??」
「大丈夫、大丈夫!!」
「…ねぇ、茜?
この赤本って……
時和多高校のじゃない!!?」
「うん…」
「時和多って…あの、時和多大学の
付属の……」
「うん、時和多大学付属時和多高等学校」
「じゃぁ…栗田くんとは」
「多分、違う高校になっちゃうね…」
「…いいの? だって、ずっと好きで」
「いいのいいの!!
もし、栗田くんの行きたい高校が
わかっても、あたしは時和多行くって
決めるつもりだったし!!」
「茜、マジで言ってんの??」
「うん、マジ!!」
「…本当にいいの?」
「美紀、くどいよ?」
「ねぇ…いいの?
だって、時和多って難関だし
栗田くんが行く可能性だって低いし」
「いいの、本当に!!
あたし、マジで時和多行きたいの!!」
あたしの笑顔を見て、美紀はもっと
心配そうにあたしを見る。
「それに、あたしが時和多受かるか
わかんないし、栗田くんと違う高校
だって決まったわけじゃないし!!」
あたしはそう言って、
宿題に戻った。