オレンジラヴストラック


マーゼラは痩せ細った腕を解くと、いつのまにか流れていた私の涙を拭った。


「でも安心しな。アタシは城に戻るから」


「私も安心だ。ソフィアを頼んだぞ」


お父様は拓也を見た。


「絶対に幸せにします」


お父様を見る拓也は誰よりもカッコ良かった。


そんな拓也に見とれていると、マーゼラが声を潜めて話し始めた。


「ゼウスに魔薬をかけたから今は素直だが、もう少ししたら元に戻る。でも反対するような事はないから安心しな」


なるほど、それで別人のように素直なのね。




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