ビターな彼に夢中[短編]
『!うっきゃあぁ』


私の左足が突然どこかに落ちた。


崖!?

体のバランスが崩れる!


そう思った瞬間
マサトが右腕を掴んで引き寄せてくれた。



…何が起きたの?

『…死ぬかと思った』


マサトを見た。

マサトは相変わらず白けた目で
私を見下ろした。


『溝にはまっただけだろ。』


…溝?


見ると
今歩いてきた砂利道の端に、
雨水用の溝があいていた。


『崖かと思った…』


『今まで何回も歩いてきて
この道に崖なんかあったかよ…』


そうか…


『そうだよね…』


マサトはため息をついた。

『お前マジどんくせぇ。
どんだけパニクってんだよ。』


マサトはまた歩き出した。


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