ビターな彼に夢中[短編]
試合が終わった。


何回か泣いた私は
一人で顔を洗いにトイレに行った。



私がトイレから出ると
試合直後で汗をかいた高宮がいた。


『見に来たんだ。』



私はコクンと頷いた。



『…なんでここに?』


『エリが教えてくれたから。』


高宮はにやりと笑った。

高宮のその顔…

久しぶりにみた。


顔を洗ったばかりなのにまた涙が滲む。



そんな私の様子を見て高宮は言った。


『…なんか言いたいことある?』



私は頷いた。


『高宮…ごめんね…』


涙が落ちる。


『今さらだけど…好き…』


『………』


高宮はなにも言わない。

やっぱり…


うつむいた私の足元には涙がポタポタ落ちた。


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