ビターな彼に夢中[短編]
高宮は私を抱き締めた。
『…俺も寂しかった』

高宮の腕に力がこもる。

……

高宮…

高宮…


抱き締められたまま、
私は高宮の背中をポカポカ殴った。


『ぅう…っ高宮…
高宮のバカ!嫌い!』


涙が溢れた。

安堵の涙。


『…嫌い?嘘つくなよ』

『嫌い…嫌い…』




高宮は私の肩に腕を回したまま、
体だけゆっくり離れた。

目が合って
私たちは見つめ合った。


『…もっかい言えよ?』


高宮の真っ直ぐな目に
見つめられた。




高宮…


『…好き…』




高宮はにやりと笑った。










 *fin*

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