迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*




朝――。

俺が目覚めたときには、みさきは既に起きていて。

部屋の片隅で何やら座り込んでいた。



珍しいなと思って、近づいてみれば……


まぁ、自分の荷物をまとめていたわけだけど。


いつものことだから、俺はあんまり深く考えなかったんだよなぁ。





夏休みに入ってから、
みさきはほとんど毎日、ここに来ていて。

泊まっていくこともしょっちゅうで。

数日に1回、自分の家に着替えを取りにいく…という生活が日常になってるもんだから…






もちろん、そうさせているのは俺。

アイツには会わせたくないけど、やっぱり一緒にいたいから。

なるべく、アイツがいないときに呼んで、そのままがっちりガードして…



みさきの両親もうちの母さんも、それについては寛容だから。

大いに、自由にさせてもらっていたわけだけど…





「…アイツに気を遣うことないじゃん。」



みさきの背中にぽつりと呟く。



「あくまで“居候”なんだから。イヤなら、向こうに出て行ってもらえばいいんだよ。」



< 100 / 334 >

この作品をシェア

pagetop