迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
朝――。
俺が目覚めたときには、みさきは既に起きていて。
部屋の片隅で何やら座り込んでいた。
珍しいなと思って、近づいてみれば……
まぁ、自分の荷物をまとめていたわけだけど。
いつものことだから、俺はあんまり深く考えなかったんだよなぁ。
夏休みに入ってから、
みさきはほとんど毎日、ここに来ていて。
泊まっていくこともしょっちゅうで。
数日に1回、自分の家に着替えを取りにいく…という生活が日常になってるもんだから…
もちろん、そうさせているのは俺。
アイツには会わせたくないけど、やっぱり一緒にいたいから。
なるべく、アイツがいないときに呼んで、そのままがっちりガードして…
みさきの両親もうちの母さんも、それについては寛容だから。
大いに、自由にさせてもらっていたわけだけど…
「…アイツに気を遣うことないじゃん。」
みさきの背中にぽつりと呟く。
「あくまで“居候”なんだから。イヤなら、向こうに出て行ってもらえばいいんだよ。」