迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……っ!」
朝食のプレートを置くとき。
母さんには聞こえないくらいの小さな声で。
俺はアイツに囁いた。
…案の定。
ぴくりと反応した肩。
あーあ。
みさきの予想は大当たり。
やっぱり、筒抜けだったかぁ…。
アイツの部屋は、俺の部屋のすぐ隣。
今まで物置にしていた場所で、今だに荷物はいっぱいあるし、
分厚い壁を挟んでるから、だいぶ油断してたけど…
やっぱり、聞こえちゃうか。
ってことは、さっきのも“聞かれてた”ってことだよね?
うわーっ。
さすがにそれは…
俺は全然平気だけど、みさきのことを考えたら、やっぱり気をつけないといけないのかもしれない。
変な妄想とかされたらたまらないし…
何より、大事な彼女を安売りするようなことはしたくない。
今さらながら、ものすごい後悔に苛まれてしまった。
母さんの部屋は離れてるから、今まで気にしたことなかったからなぁ…
「今日もお見舞いに行くの?」