迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……みさきなら、いないよ?」
俺には、受験勉強がある。
顔を洗ってスッキリしようと、部屋を出たところで、偶然にもアイツとバッタリ出くわしてしまった。
気まずそうに部屋に入ろうとするから、思わず…
「しばらく、ここには来ないから。」
聞かれてもいないことを口に出してしまった。
「…え?」
戸惑ったような、でも明らかに落胆の色を見せる瞳。
……ムカつく。
「だから、安心していいよ?」
「…?」
「今夜からは静かにゆっくり寝られるようになるから。」
「……!?」
言葉の意味に気づいてすぐに、顔色が変わる。
ふっ…
「ごめんね?今まで毎晩、うるさかったでしょ?」
にっ、と笑って、アイツのほうに近づいて。
わざと、耳元で囁くように言ってやる。
「みさきも俺も…
“愛情”は身体で表すタイプなんだよね。」
「……っ」
「しかも、毎日しても足りないくらい“愛し合ってる”からさ。」