迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「本当は1年の子が来てくれるはずだったんですけど…」
――高校の図書室。
目の前で申し訳なさそうに縮こまっているのは、図書委員の2年生で。
名前は忘れたけど…
読書好きで真面目なメガネ男子、だ。
「いや、いいよ。
一応、俺が“委員長”なわけだし…」
「でも…」
「いいって。それより、早く終わらせよう?何からやればいい?」
「じゃあ…」
……あの後。
悶々としていた俺のところにかかってきた1本の電話。
出てみれば、図書委員の顧問の先生からで…
急遽、手伝いに駆け付けることになってしまった。
すっかり忘れてたけど…
俺って、“委員長”だったんだよね。
うちの学校は、夏休み中も図書室は解放していて。
普通にカウンターの“当番”がある。
でも、受験勉強のある3年生はそれが免除されてるから。
休み中は基本的に1、2年でローテーションを組むことになってるはずなんだけど…
「…みんな、サボりすぎだろ。」