迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
当番表を見て、思わずため息が漏れた。
だって…
そこにあるのは、ほんの数人の名前だけ。
1年は、マドカと…多く見積もっても2〜3人。
2年なんて…メガネ君しかいないじゃん。
今までよく回ってたなぁ。
まぁ、利用者なんてたかが知れてるし、
基本的に顧問の先生がいればすむんだけど。
それにしても…
「つらかったら、連絡しなよ?」
隣で真剣に本の仕訳をしているメガネ君に呼び掛ける。
「俺はいつでも手伝うし、なんだったら悟だって連れてくるし…遠慮しなくていいから。」
明らかに、負担が偏りすぎてるもんなぁ。
3年生を使ってくれていいのに…
この学校は“受験生”だからって、気を遣いすぎなんだよね。
“勉強”なんて、家にいるからってはかどるもんじゃないし、
むしろ、部活も引退してる3年のが暇なんじゃないか?
「…ありがとうございますっ」
俺の言葉に、びっくりしたように顔を上げたものの、
「先輩って、やっぱりカッコイイですね!」
メガネ君は、なぜか瞳をキラキラさせて俺を見た。
……ん?