迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
彼女に近づくべく、とにかく俺は頑張った。
「なんでそこまで?」
って、みんなによく聞かれたっけ。
「確かに、あの子は誤解されやすいだけですごくいい子だけど…」
みさきの“難しさ”をよく知っている茉奈さんは、俺が相談する度に同じことを口にした。
「みさきに近づくのは大変だよ?航ちゃんなら、もっと“普通に”相手が見つかるでしょ?」
打ち解けてくれた、と言っても、あくまで“友達として”だから。
それ以上の関係になるのは無理だ、って。
「そりゃ、お前はモテるよ?嫌味なくらい。でも…
だからって“あの”先輩は高望みしすぎだろ?」
悟は言った。
「お前にかまってくれるのは“弟”的な存在だからで…“年下”なんて論外じゃないの?」
アイツなりに、友達としてのありがたい忠告。
ちゃんと、聞いてはいたよ?
でも…
みんなが言うような理由じゃなかったんだ。
彼女に惹かれた理由。
好きになった理由。
そのときは気づかなかったけど、今ならよくわかる。
容姿とか、そんなんじゃなくて……
似てたから、なんだ。