迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
――助けてあげたい
って、心のどこかで思ったんだと思う。
みさきはいつも、どこにいても居心地が悪そうだったから。
それはまるで、あの家にいた頃の俺と同じ。
本当は全然違うのかもしれないけど…
俺にはそう見えて。
感じるものがあったから。
そして、
助けられるのは自分しかいない、って。
なぜか勝手に思ってしまったんだ。
俺は知ってるから。
どうすれば、そこから抜け出せるのか。
楽になれるのか。
感情を表さない彼女。
笑顔にできるのは俺だけなんだ、って。
俺が、助けてあげなきゃ。
俺が、
“居場所”を作ってあげよう、って――
今思えば、
なんて身勝手な思い込み。
間違っていたら、どうするつもりだったんだろう?
“幼さ”って怖い…
でも、
それを信じて、俺はみさきに近づいた。
慎重に、少しずつ仲良くなって。
もう少しだ、って思ったとき。
あの“事件”が起こったんだ―――