迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
すれ違う心
「ただいま。」
――1週間後。
みさきは予定通り、俺のところに戻ってきた。
その姿も。
俺を見つめる眼差しも。
何ひとつ変わってない。
…いや。“たかが”1週間でそんなに激変するわけがないんだけど。
それまでは、ほとんど毎日一緒にいたから。
もう随分長いこと会っていないような感覚で…
「…おかえり。」
今すぐその存在を実感すべく、手を伸ばして。
玄関先に立つ、みさきの身体を引き寄せた…そのとき。
「あらぁ。みさきちゃん、おかえりなさい!」
タイミングよく、後ろから聞こえてきた陽気な声。
「どうだった?ゆっくりできた?」
振り返らなくてもわかる。
…ったく。
今日に限って、なんでこの時間に家にいるのかなぁ?
って言うか、空気を読もうよ。空気を!
「え…あっ。はい。」
俺の腕の中に、ぴったりと収まるはずだったのに…
その温もりを感じる暇もなく、離れてしまったみさきの身体。
「あの、コレ…おみやげです。」