迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
そして、
たどり着いたのが…
「今、ちょうど掃除してたところで…散らかってるけど。どうぞ?」
大学の傍にある茉奈のアパート。
なんでこんな遠くまで?って思うけど。
私には、他に行くところなんてなかったから。
「それにしても…
昼間会ったときは元気だったのに、一体どうしちゃったの?」
私を座らせて。
タオルを差し出しながら、茉奈は心配そうに顔を覗き込んだ。
「……っ」
…そう。
茉奈とは、つい数時間前に会ったばかり。
今日期限の課題を一緒に研究室に提出しに行って…
別れたところで、私は先輩とバッタリ会ってしまったわけだけど…
「航ちゃんのとこに行くって言ってなかった?」
タオルを受け取りながらも、茉奈から視線をそらす。
「まさか、航ちゃんと何か…「く…倉田くんは?」
「え?」
「もう、帰ったの?」
茉奈の言葉を遮って。
私は無理矢理話題を変えた。
「うん?さっき帰ったよ。だから今、掃除を…」