迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「ごめんね?狭くて…」
夜になって。
茉奈は、自分のベットの隣に布団を用意してくれた。
最初、ベットのほうを私に譲るつもりだったみたいだけど…
さすがにそれは断った。
泊めてもらう上に、そこまで甘えるわけにはいかないから…
「あー…私、やっぱり向こうで寝ようか?」
「いいよ。大丈夫。
なんで茉奈が気を遣うの?」
「だって…」
茉奈が指したのは、3畳ほどのキッチンの床。
お邪魔しているのは、私のほうなのに…
さっきから、この調子。
「ごめんね?もうひと部屋…か、せめてロフトでもあればよかったんだけど…」
「いいってば。」
なぜか異様に気にしてくれている茉奈。
それは、たぶん…
「みさき、1人じゃないと眠れないでしょ?」
私のことをよく知っているがゆえのこと。
「昔からそうだもんね。
同じ部屋だと…隣に誰かがいると、眠れないでしょ?」