迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……っ」
茉奈の言葉にハッとする。
「…あ。ごめん。」
そんな私に気づいて、茉奈の表情も曇った。
「ごめんね?私ってば、
こんなときに無神経なことを…」
「…ううん。いいよ。」
慌てて謝る茉奈に、私は小さく微笑んで見せた。
本当のこと、だから。
「眠れないようなら言ってね?私、すぐに出ていくから。」
「茉奈…」
「今日は…こういうときは、ちゃんと眠らなきゃダメなんだからね?」
まっすぐに、真剣に私を見つめる瞳。
茉奈のやさしさ。
それが伝わってきて、
とっくに枯れたはずの涙が、またじわりと湧いてきてしまった。
同時に、
いろんな気持ちや記憶も蘇ってきて…
「ありがとう…」
それだけ。
言うのが精一杯だった。
「……おやすみ。」