迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「そんな可愛い顔で残念がられたら…俺の理性が保たなくなるじゃん。」
困ったように笑いながら、そっと私から体を離した航くん。
横たわる私を起き上がらせて、乱れた服を直してくれる。
それをぼんやり眺めながら、私は…
「…いいのに。」
無意識に呟いていた。
「え?」
手を止めて、私を見つめる航くん。
「私は、いいよ?その…
今すぐそういうことになっても…」
自分の言っていることの恥ずかしさに気づいたのは、びっくりしたように目を丸くした航くんを見たときで。
「やっ…あの…そういう意味じゃなくて…」
否定しても、もう遅くて。
ぼかーんとしたまま固まる航くんと、
真っ赤になって慌てて背を向ける私。
「………。」
明らかに気まずい雰囲気が流れる中、航くんが口を開いた。
「ありがとう。」
「……?」
「でも、まだしない。
男に二言はない、んだよ?みさきさん?」