迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
―……きっ!
―――…さき!
「みさきってば!」
ゆっくりと。
目を開ければ、
「あー…やっと起きた?」
ホッとしたように。
でも、若干呆れたように、私を見下ろす茉奈がいて。
「気持ちはわかるんだけど…さすがに1回起きたほうがいいと思うよ?体のために…」
「…?」
「ほら…」
まだ視界と思考がぼやける私に、茉奈はケータイを近づけてきた。
ディスプレイに映っていたのは、時計で…
「えっ?3時!?」
もちろん、夜中じゃなくて…
「眠れなかったんだろうとは思うんだけど、さすがに…」
「…ごめん、茉奈。」
新聞屋さんのバイクの音を聞いた記憶はある。
でも…
夜が明ける頃、
私はようやくうとうとし始めた…らしい。
「本当にごめんね?」
「いいよ。いいよ。
みさきは体、大丈夫?」
変な時間に眠ると感覚がおかしくなるからね、と言いつつも、
じーっと私を見つめる茉奈。…何?
「でも…また今日も泊まったほうがいいかな…?」