迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
シルバーリングの約束
「みーちゃん、ちょっといい?」
コンコンと。
ノックの音と同時に聞こえた切羽詰まった声。
「どうぞ…「お邪魔します!あのねっ、」
返事し終える前にドアが開いたかと思えば…
「明日テストなんだけどね、もう全然わかんなくて…」
教科書片手にまどかが部屋に駆け込んできて。
「どうしようっ?これじゃ絶対に赤点だよぉ。追試で受かんなかったら留年だよねぇ?」
座っていた私に向かって、
涙目になりながら、飛び付いてきた。
「…まどか?」
「どうしよう?今からじゃもう無理だよね?あーっ」
「ちょっ…落ち着いて?」
私にぎゅっと抱きついて。
そのまま、本気で“泣き”の体勢に入る。
「うわぁん…このままじゃ私、卒業するまでに何年かかるかわかんないよぉ。」
…ダメだ。こりゃ。
完全にパニックだ。
「落ち着いて、まどか。
とりあえず、できるとこだけでもやってみよう?」
投げ出された教科書を拾ってから、私は“妹”の頭を撫でた。