迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*




……そう。


気づけば、9月。


私の通う大学は、
夏休みは8月から2ヶ月。

だから、今月いっぱいはお休みなんだけど…

高校生の夏休みはとっくに終わっていた。



たぶん、

連絡が途絶えたのは、そのせいもあるんだと思う。



「…みーちゃん?」



カレンダーを見ながら、思わずぼーっとしてしまったらしく、

まどかが不思議そうに覗き込んでいた。



「…ごめん。何?」


「あのね、明日も教えてもらっていい?」


「え?いいけど…」


「ホント?じゃあ、明日は英語と古文を…」



休み明け。

まどかが通う高校では、“実力テスト”と呼ばれるものがある。

それは私も経験したお決まりの行事。


1、2年生は、主に1学期の復習問題だけど、

受験を控えた3年生は、普通に模試形式だから…


たぶん、大変だ。

航くんも…



「ねぇ、みーちゃん?」



予定表を取り出して、ガサガサやっていたかと思えば、

まどかがふいに真剣な顔で私を見つめた。


……何?
見つめ返してみると…



「コウちゃんと、

……何かあった?」




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