迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*




「“悪い虫”がつかないように、らしいですよ」



あとでこっそり悟くんが教えてくれた。



「ほら、先輩“女子大生”になるわけじゃないですか?それで…」


「…?」


「飲み会、合コン…アイツの知らないところでいろんな“男”に出会うわけでしょ?相当焦ったみたい。」



だから、

“指輪”なんだ、と。




私にはイマイチ、ピンとこなかったんだけど…



聞けば、

その指輪はかなり高価なものだったらしく…


手に入れるために、航くんはこっそりバイトをしていたらしい。



「あ、変なバイトじゃないですよ?俺の親戚の店です。そもそも、その人がこういうの作ってて…」



それでも足りなくて、最後は“出世払い”にしてもらったとか。



航くんは何も言わなかったけど、

悟くんに全部聞いちゃったから。



それがすごく嬉しくて。

絶対に大事にしよう、そう決めたんだ。







そのとき、は――



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