迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「何かあったんでしょ?」
なおも、私を見つめるまどかの瞳。
まっすぐに。
まるですべてを見透かしているみたいに…
「ねぇ、みーち「ごめん、まどか」
これ以上は無理。
私は、まどかから目をそらして立ち上がった。
「私、明日からバイトだから…今日はもう、1人にしてくれるかな?」
「え…?」
「ほら、まどかも。
もう1回、自分で復習してみたほうがいいと思うし」
言いながら、
なるべくそっと。
まどかの背中をドアのほうへと押しやる。
「え?バイト?みーちゃんが?何の?」
「そう。大学の図書館。」
「え…」
「朝早いから…またね?
おやすみ。」
パタン、と。
ドアを閉めて、そのままそこに寄りかかった。
はぁっ…
まどかが心配してくれているのはわかる。
あの子はやさしいから。
私が家にいることを喜びながらも、
時々、哀しげな…同情的な瞳で私を見ていることには気づいていた。
でも…
その話だけは、できない。