迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*




「たとえ、私と航くんの間に何かあったとしても…
それは先輩には関係ないことですから。」



私は、何を言っているんだろう?


心配してくれている。

それはちゃんとわかっているはずなのに…



「だから、放っておいてください。」



無意識に、ひどい言葉が出てきてしまう。

それは、きっと…



「…そもそも、先輩が悪いんですよ。」


「え…?」


「先輩が、また現れたりするから…」



完全な八つ当たりだ。


わかってる。

わかってるんだけど…



「先輩が航くんの前に現れたりしなければっ…」


「立花…?」


「…ううん。先輩が

あのとき、私に声をかけたりしなければよかったんだ。」



そしたら、


私たちは、
“普通の”恋ができた。


出会って、
好きになって、結ばれて。

今も変わらず、
一緒にいられたのに…




「全部、先輩のせい…」



その存在が、

私から航くんを遠ざけて行くんだよ――



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