迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「…えっ?」
勉強がひと段落ついたところで、休憩。
お茶を入れて、
お菓子を用意して。
タイミングを見計らって、私は話を切り出した。
「昔の…話?」
「そう。まどかは知ってるんだよね?」
「そりゃ、知ってる…けど。」
私の言葉に、かなり戸惑っている様子。
無理もない…か。
この前はあんなに拒んだくせに、今さら、
「航くんの話を聞かせてほしい」だなんて。
虫がよすぎる…よね。
「…いいの?」
小さくため息をついた私に、同じく小さな声で問い掛けるまどか。
「コウちゃんの話しても、みーちゃんは平気?」
「え?」
「みーちゃんが聞きたいなら、私は喜んで話すよ?」
この子は…
やっぱりいい子だ。
さっきの戸惑いは、私のことを心配して…
「あんまり詳しくは覚えてないんだけど…いい?」