迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「え?だって…」
まどかはそのとき、聡子さんと2人暮らし。
だから、わかる。
でも、航くんは…
両親は働いていたとは言え、先輩も…そのおばあさんもいたはずでしょ?
「私にもよくわかんないんだけど…」
私の気持ちを汲み取ったかのように、まどかは続けた。
「コウちゃんは、
お父さんかお母さんが帰って来るまでは、絶対にお家に入らなかったの。」
「…え?それって…」
「おばあちゃんに“嫌われてるから”って…」
「……っ」
なんとなく。
ぼんやりとだけど…
見えてきたような気がする。
航くんが、“成海”の家を嫌う理由。
先輩を敵視する理由。
それは…
「あ、でもね、
おじさんとおばさんはやさしかったよ?」
取り繕うように、付け足すまどか。
「お休みの日は、3人で遊園地とか行ってたし…」
両親には、大事にされていた。
でも…
「ただ、
おばあちゃんとコウちゃんが“2人で”いるところは見たことないなぁ…」