迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
え――?
なんで、そんな話を?
まどかってば、一体何を考えて……
「実咲ちゃんにおつき合いしている人がいることは、前から知ってたの。」
私の動揺をよそに、淡々と話を進めていく聡子さん。
「中学生…ううん、
高校生になった頃からだったかしら?」
さすが、聡子さん。
…って、まぁ、そりゃそうだよね。
はっきりとは言っていないにしろ、私の行動が明らかに物語ってたはずだから。
「それについては、私も実さ…お父さんも特に反対はなかったのよ。」
“実さん”か…。
お父さんの名前なんて、久しぶりに聞いた気がする。
「まぁ確かに、外泊が増えて家にはあまり帰らなくはなったから、お父さんは心配してたけどね。」
……意外。
別に気にしてないと思ってたのに。
「でも私、言ったのよ。
“いいじゃないの”って。」
「え…?」
「人様に迷惑をかけたり妊娠したりさえしなきゃ…あ。ごめんね。ちょっと直接的すぎたかしら…」
謝りつつも、聡子さんは続けた。
「実咲ちゃんが幸せなら、それでいいじゃない、って。」