迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……っ」
どう反応していいのかわからない。
聡子さんの言葉をどんなふうに受け取ればいいのか…
「自分では、気づいてないかもしれないけど…」
そんな私を、やさしい瞳で見つめる聡子さん。
「実咲ちゃん、随分変わったのよ?」
「え…?」
「表情も雰囲気も柔らかくなって。“人間らしく”なった。」
人間らしい…?
「こんなこと言ったら、失礼かもしれないけど…
出会った頃の実咲ちゃんは、綺麗な“お人形さん”みたいだったから。」
「人形…?」
聞き返した私に、黙って頷く聡子さん。
「…そう。感情を殺して、無理して生きてる感じだった。」
そんな…
そんなつもりは…
「助けて…あげたかったんだけどなぁ。」
「え?」
「“家族”になることで、それを変えられるかと思ったんだけど…無理だった。」
「聡子さん…」
努めて明るく言っているものの、哀しげな瞳は隠せない。
私は…
「実咲ちゃんを救ってくれたのが、“航くん”だったんでしょ?」